日本のアンチエイジング医学の第一人者・満尾正さんに体の酸化について解説してもらう本シリーズ。第2回のテーマは、体の酸化度合いのチェック。食生活に気を付けているという日本テレビホールディングス・古市幸子が実際に検査を受けたところ、驚きの結果に…。
満尾クリニック院長。ハーバード大学で栄養学を習得した日本のアンチエイジング医学の第一人者。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、キレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを2002年赤坂に開設、2005年広尾に移転、現在に至る。著書に「食べる投資」アチーブメント社など多数。
アスリートもトレーニングに活用している体の酸化度合いチェック

━━今回のテーマは「体のサビつき度チェック」ですが、検査方法としては、前回のお話にあった尿でサビつき度を調べる方法が主流なのでしょうか。
そうですね。もっとも一般的でわかりやすい検査が「尿中8-OHdG」です。
体内で酸化されて壊れた遺伝子の残骸が、尿の中に出てきます。その残骸の量が多いか少ないかを検査するんですね。酸化の度合い(酸化ストレス)が大きい方ほど尿中8-OHdGは高くなります。

この検査はトップアスリートの世界でも利用されているんです。
アスリートが朝起きたときの尿中8-OHdGを調べて、前日のトレーニングが多かったのか少なかったのか、疲労が溜まっていないかなどを判断する指標として使われています。

━━トップアスリートにもなると、体の酸化の度合いを検査してトレーニングに生かしていらっしゃるんですね。
はい。アスリートは体の酸化の度合いをチェックしておかないと、体の故障に繋がってしまいますから。
まさかの基準値超え!? 酸化の進み具合に驚愕

━━私も今回はじめて「尿中8-OHdG」の検査を受けました。比較のために、私の上司であるWさんと2人で検査を受けたんですが…。
単位は難しいので省きますが、古市さんの数値は26.4で、Wさんの数値は15.7でした。
私のクリニックでは基準値の上限を24としています。24未満であれば正常範囲で、24を超えると酸化状態が進んでいるということですね。

古市さんは、今回の場合は健常者の範囲から飛び出てしまっています。
しかし、これはあくまで検査時点の数値だと理解してください。前日に激しい運動をしたり、イベントがあって疲れていたりしただけかもしれないので、そんなにショックを受けなくても大丈夫ですよ。

━━先生になぐさめられるほど、ショックがじわじわきます。
古市さんの数値より高い方は何人もいらっしゃいますよ。また、何回調べても高い数値で酸化の度合いが良くならない方でも、1年、2年と治療を続けていくなかで正常値まで落ちてくるケースもあります。
メンタルストレスや睡眠不足も酸化が進む原因に

━━正常値の範囲内だったWさんと正常値を超えてしまった私は、なぜこのような差が出たんでしょう。前回の先生のお話では、体の酸化には食べ物など要因がいろいろあるんですよね。
個人が何を食べているかまでは確認できないので結論は出せないんですけれども、食べ物以外の酸化の大きな原因として、メンタルストレスも挙げられます。

うつ病は脳細胞の炎症、つまり酸化ストレスが原因じゃないかという仮説もあるぐらいです。
━━私は食生活には結構気を付けているんですが、もしかすると睡眠時間が足りていないかもしれません。
睡眠の質と時間も大事ですね。時間でいうと、7時間前後の睡眠がとれていることが理想です。

━━睡眠時間、7時間もとれていないです。
日本人は睡眠時間が短いことで有名ですからね。
体の酸化につながる飲酒や暴飲暴食にも要注意

━━酸化が進む原因として、メンタルストレスや睡眠不足のほかにも何かありますか。
大酒を飲んだり、暴飲暴食をしたりするのも良くないですね。
━━たしかに飲み過ぎは良くないと思うのですが、酒は百薬の長ともいいますよね。お酒はあまり良くないんですか。
私はお酒を毎日飲むのでこれを言うのが非常に辛いんですが、近年のアンチエイジングの世界では「アルコールはできれば摂らないほうが良いだろう」とされています。
10年前までは「アルコールは20gまでならOK」という説もあったんですがね。

━━私、今回の検査の前日にアルコールを飲んで揚げ物を食べました。この結果はしょうがなかったですね。
今回の結果を通して「アンチエイジングの観点ではアルコールは良くないんだ」とわかっていただいて良かったと思います。
できることから始めよう! 酸化した体質を変える5つの習慣

━━では、酸化した体質を変える習慣を教えていただけますでしょうか。
はい。まず1つ目が「適度な運動」ですね。2つ目が、ストレスを抱え込まないための「メンタルコントロール」。そして3つ目が「睡眠の質と時間」です。
さきほど説明したように「アルコールの制限」も大切です。さらに「野菜などの抗酸化食材の摂取」ができているかも、体の酸化には関係してきます。
ちなみにタバコは、みるからに酸化するような成分でできているので論外です。
━━まずは、できることからやっていくのが大事ですね。
はい。これら5つをすべて同時にカバーすることは難しいと思いますので。
千切りキャベツは色素が薄すぎ?! 色彩豊かな野菜を選ぼう

━━少しでも酸化を遅らせるために食べておいたほうが良い物はありますか。
ブロッコリーやピーマンなど、緑緑していて色彩豊かな野菜を積極的に選ぶと良いと思います。
若い方と外来で話しているとよく「コンビニの千切りキャベツを食べている」といった話が出てきます。
千切りキャベツは、色彩が薄すぎます。食物繊維はしっかり入っていると思うんですが、抗酸化作用があるポリフェノールの量を考えると、足りないですね。
━━色彩豊かな野菜というと、いわゆる「緑黄色野菜」が良いんでしょうか。
おっしゃるとおりです。あとは、鮭に含まれるアスタキサンチンも、抗酸化作用を持つ代表的な成分ですね。

━━ほかにも気になる食材がありそうですね。
はい。次回は「抗酸化食材10選」をご紹介したいと思います。
(『コンディショニングイノベーションLab公式』より抜粋・再構成)
『コンディショニングイノベーションLab公式』は日本テレビホールディングスのウェルネス情報シンクタンク、コンディショニングイノベーションLAB(CIL)公式YouTubeチャンネルです。「健康を、正しく、わかりやすく」をテーマに、最新のウェルネス情報からベーシックな基礎知識までエビデンスに基づいた情報をお届け。日々を健やかに、人生を楽しむお手伝いをいたします。



