日本のアンチエイジング医学の第一人者・満尾正さんに体の酸化について解説してもらう本シリーズ。最終回となる第4回のテーマは、体の酸化対策としてのプチ断食。なぜ断食をすると体の酸化対策になるのか、どうやって断食を始めたらいいのか…。日本テレビホールディングス・古市幸子が迫った。
<満尾正さんプロフィール>
満尾クリニック院長。ハーバード大学で栄養学を習得した日本のアンチエイジング医学の第一人者。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、キレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを2002年赤坂に開設、2005年広尾に移転、現在に至る。著書に「食べる投資」アチーブメント社など多数。
内臓の疲れが酸化につながる! 12時間のプチ断食で内臓を休めよう

━━今回のタイトルが「老化防止にプチ断食!?」ということなんですけれども。
内臓が疲れると体は酸化現象に弱くなってしまうんですね。酸化しないためにはときどき内臓を休めてあげることが大事です。
日本には昔から「健康長寿のためには腹七・八分など小食にすることが大事」という考え方がありますよね。食欲がないときには食事をスキップするのも一つの手です。

夕食が終わってから次の日の朝ごはんまで12時間ぐらいは間を空けておいて、一定時間何も食べない時間を作るのが、一番取り組みやすい「プチ断食」の方法だと思います。
無理に1日3回食べる必要はない! 夜は軽めの食事がおすすめ

━━この番組を作っているTさんは、朝ご飯から夜ご飯までの12時間、何も食べない1日2食のプチ断食をしているそうです。これは良いんでしょうか。
それも良いと思います。「1日3回食べないといけない」というルールはありません。江戸時代は2食だったといわれてるぐらいですから。

━━断食っていうと何日も食べないイメージがあったんですが、そこまでしなくても大丈夫なんですね。
はい。特に、夜に大食いをしてしまうと食べたものが内臓脂肪に溜まってしまいますので、夜は軽めの食事にすることが大切です。こういう食生活が、体を酸化現象から守る大きな手段の一つになると思います。
食べ過ぎが老化につながる!? サルの研究からわかるプチ断食の効果

━━プチ断食には、内臓を休めること以外にも何か効果があるんでしょうか。
はい。老化に関するサルのこんな研究があります。30年間通常の量のエサを与えられたサルと7割の量のエサしかもらえなかったサルを比較したところ、少ないエサで育てられたサルのほうが若々しい姿だったんですね。

この違いは、食べている物の量の差から来ているのかもしれないと考えられています。だから若いうちに食べすぎてしまうと酸化現象が進んで、早く老化して早く死んでしまう可能性があると思います。

━━若いときは毎日食べすぎていました。それが今になって影響が出ているのかもしれませんね。
実は食品は、厳密に考えると体にとって大きな異物なんです。胃や小腸や膵臓などの内臓が頑張って異物を栄養素に変えて吸収しているわけです。ものすごい一大事業なんですね。
食事は体に負担をかける作業といえるので、ぜひ内臓を休める時間を作って、労わってあげてください。
断食で胃腸を壊すケースもある!自己判断の断食はやめよう

━━断食をする前後に気を付けたほうが良いことはありますか。
断食した後に回復食(通常の食事に戻していくための食事)を食べ過ぎてしまって、胃腸が壊れてしまう事故が起こることがあります。これには注意していただきたいです。

━━断食で事故が起こるんですか。
はい。断食で亡くなってしまう方もいるので、自己判断でしないほうが良いです。断食にチャレンジされる方は、しっかりとした指導者のいる施設でおこなうことをおすすめします。

何も食べないことによって小腸の壁が薄くなっていくんですね。薄くなったところに大量に食品がやってくると小腸がダメージを受けてしまいます。それが非常に危険な現象といわれています。
プチ断食後の朝ご飯は「もう一口」でやめて腹七〜八分に

━━先生が最初におっしゃっていた、食事の間隔を12時間空ける「プチ断食」でも小腸へのダメージは気にしたほうが良いですか。
一食をスキップするなど、それくらいのプチ断食なら全然気にしなくて大丈夫です。ただ朝食は満腹にならない程度で、腹七分・八分に抑えるのが良いですね。

━━腹七分・八分って意外と難しいんですよね。どんな感じを想像すればいいですか。
「もう1口食べたいかな」ぐらいでやめるのが良いと思います。
工夫次第で酸化の影響は少なくできる!自己防衛として取り組もう

━━今まで4回にわたって体の酸化対策について先生にお伺いしてきましたが、最後に先生からお伝えしたいことはありますか。
人間は息を吸って酸素を利用して生きてる限り、酸素の弊害も合わせて受けなくてはいけません。それが酸化現象です。
でも一方では、これまで紹介してきたように「ポリフェノールの多い野菜を食べる」「睡眠をしっかりとる」「内臓を休める」など、酸化現象を少なくする方法もあります。

これらの方法を「自己防衛の手段」としてうまく利用することが、健康を維持して毎日元気に過ごすために必要になります。
━━自己防衛。まさにコンディショニングですね。
おっしゃるとおりです。
(『コンディショニングイノベーションLab公式』より抜粋・再構成)
『コンディショニングイノベーションLab公式』は日本テレビホールディングスのウェルネス情報シンクタンク、コンディショニングイノベーションLAB(CIL)公式YouTubeチャンネルです。「健康を、正しく、わかりやすく」をテーマに、最新のウェルネス情報からベーシックな基礎知識までエビデンスに基づいた情報をお届け。日々を健やかに、人生を楽しむお手伝いをいたします。



