世界が注目する画期的なウォーキング法「インターバル速歩」。提唱者の能勢博さんは「6か月実践すれば10歳若返ったような体力が得られる」と語る。インターバル速歩とはどのような歩き方なのか、実践すると体のどこがどう変化するのか…。ティップネス三軒茶屋店で、日本テレビホールディングス・古市幸子が迫った。
<能勢博さんプロフィール>
インターバル速歩の第一人者。信州大学医学部特任教授。1979年、京都府立医科大学医学部卒業。同大学助手を経て1985年に米国イエール大学医学部へ留学し博士研究員を務め、1993年から京都府立医科大学で助教授として勤務。1995年より信州大学で教授として加齢適応・スポーツ医科学分野を牽引し、現在に至る。
ゆっくり歩きと速歩きを交互に繰り返す「インターバル速歩」

━━能勢先生が考案された「インターバル速歩」とはどのようなものでしょうか。
ゆっくり歩きと速歩きを3分間ずつ交互に繰り返すという歩き方です。これを1日5セット以上かつ週に4日以上おこなって、速歩きの時間が1週間で合計60分になるように歩いてもらう。

━━単にゆっくり歩いたり速く歩いたりするのではなくて「3分ずつ歩く速度を変える」「それを5セットおこなう」「週4日以上取り組む」っていうのも大事なんですね。
慣れてくるまではこの方法でやってもらって、慣れてきたら自由にアレンジしてもいいです。たとえば朝10分、昼10分、夕方10分とバラバラに取り組んでも大丈夫。平日が忙しければ週末にまとめて1週間分やっても結構です。
━━そんなアレンジも大丈夫なんですか。
大丈夫なんです。
世界も注目!インターバル速歩がもたらす「10歳若返り」の効果

━━先生が考案されたインターバル速歩は、世界からも注目されていると伺いました。
ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、タイムなどいろいろなメジャーなマスコミが取り上げてくれましたね。
━━それぐらい一般の方が見て「これだったら取り入れやすいかも」と感じたのだと思います。実際、インターバル速歩にはどんな効果が望めるんでしょうか。
一言で言うと、10歳ぐらい若返ったような体力が得られるんです。

━━わかりやすい効果ですね。約10歳若返るっていうと、体には具体的にどのような変化が出てきますでしょうか。
10年前の自分の体力を思い出してもらったら良いです。生活習慣病の指標となるような「血圧」「血糖値」「肥満指数」などが全部改善していきます。そして何よりも、気分が若返る。

━━気分も若返るんですか。
たとえば40歳を超えると「体がだるいな」とか「無理がきかないな」とか、ネガティブな気持ちを持ちますよね。その根本にあるのは、実は体力が落ちているからなんです。
━━なるほど。インターバル速歩は、その体力がアップするということなんですね。
体力がアップする。若返る。そうすると、なんか世の中がキラキラに見えてくるんです。
インターバル速歩で下半身の筋肉を鍛えれば全身の機能も上がる!

━━インターバル速歩によって、体力とともに具体的に何が変わっていくのでしょうか。
まず筋力ですよね。インターバル速歩は歩くフォームですので、いわゆる下肢の筋肉が鍛えられます。特に太ももの前にある「大腿四頭筋」ですね。太ももの後ろにある、膝を曲げる筋肉「ハムストリング」も鍛えられます。

━━年齢を重ねると、膝から調子が悪くなる方って多いですよね。そこが強化されるのは心強いです。
心強いですよね。つまずきにくくなって、転倒防止になります。
実は全身の筋肉の60%が下半身にあるんです。下半身の筋力が上がると、運動したときにとても多くの酸素を消費する。その酸素を補給するために心肺機能も上がる。だから持久力全体が上がってくるんです。

━━全身を無理やり動かさなくても、大きな下肢の筋肉を鍛えればどの機能もついていくんですね。
そのとおりです。
体重減少・血圧低下・睡眠改善…2週間で感じられるさまざまな変化

━━インターバル速歩は、どれくらいの期間で効果が出るんでしょうか。今まで歩いてなかった人は効果を感じられるようになるまで大変じゃないかなと思うのですが。
僕自身の経験では、2週間が1つの区切りです。2週間で何が起こるかというと、体重が減り始めるんです。それに伴って、血圧が高い人だったら血圧も下がり始めます。そして次に、夜よく寝られるようになるんです。

━━そうなんですか。不眠で悩んでいる方も多いですよね。
いますよね。もう「つべこべ言わずに歩け」ですね。そしてよく寝られるようになると次に何が起こるかというと、ストレスに強くなるんです。

━━たしかに、ストレスは睡眠不足から来ている面もあるんですよね。
あります。たとえば職場で嫌なこと言われても聞き流せるようになるかもしれません。
━━これは、生活の質が上がりますね。
上がりますよ。今後は運動によって体力を上げることを治療手段の一つとして使えないか考えているんです。
━━そうか。体力が上がると、治療するのと同じぐらい効果が出るということなんですね。
そうなんです。体力アップは、実は何にでも効く万能薬とも言えます。
1万人で検証を実施!数が勝負の医学界隈でも認められた速歩きの効果

━━実際にインターバル速歩に取り組んで生活の質が上がったという声もあったと思うのですが、何人ぐらいの方の検証されたんですか。
20年間で約1万人を対象に、5カ月間のインターバル速歩の効果検証をしてデータベースを作り上げました。
━━1万人の方を見ると「これは絶対に効果ある」っていうのが見えてくるんですか。
見えてくるんですよ。医学って結構数が勝負なんですね。だんだん医学界隈でも認められるようになりました。
━━医学界隈でも、みんな確信を持って「もう歩けばいい」というところまでたどり着いたんですね。
そのとおりです。「ダラダラ歩くな、ややきつい速歩きをしろ」ということですね。
ダラダラ歩きは意味がない! 限界の7割程度のきつさが重要

━━ダラダラ歩くのは全然意味がないんですね。「ややきつい速歩き」というと、どのくらいの強度でしょうか。
最大レベルを10点としたら、6〜7点ぐらいが目安です。
━━「これ以上動けない」というところまで追い詰めなくても良いんですね。
ええ、なんとか耐えられます。だからみんな、努力さえすれば6ヶ月ぐらいで10歳若返ったような体力を得ることができるんです。

━━どれぐらいの速さで歩けばいいんですかね。
2分ぐらい歩いたときに息が弾んできて「もう歩くの嫌だな」って思うくらいの速さですね。たとえば、自分が乗りたいバスがもうバス停に着いているとします。それで50m手前ぐらいのところから少し速足で歩いて、バスに乗って吊り革を掴みながら汗ばむ。これくらいのイメージです。

━━結構ハードそうですね。
ハードです。2分ぐらいで嫌いになってくるんですが「あと1分やったら休めるんだ」って思うと頑張れるんですよ。区切りがあるから。
その後が面白いです。3分間ゆっくり歩いていると、息切れが収まってくるじゃないですか。そうすると、人ってしんどかったことを忘れちゃうんですね。

━━さっきまでしんどかったけれど、もう一回速めに歩いても良いかなって思えると。
そのとおりです。あとはその繰り返しで5セットやるんです。
歩くだけだから言い訳できない!今日がインターバル速歩の始めどき

━━水泳やランニングなど、運動にもさまざまな種類があると思うのですが、先生はなぜ歩くことを提唱されているのでしょうか。
誰でもできるし、道具もいらないし、どこでもできるからですね。
━━そうか。たとえばランニングだと「足が痛いから走ると良くないかも」とかつい思っちゃうけれど、歩くだけだったらそんな言い訳もできないですもんね。
そうです。

━━この話を聞いた今が、みなさんのインターバル速歩の始めどきですね。
そうです。「ぐだぐだ言わずさっさと歩け」ということですね。
━━始めたいと思います。ということで次回は、インターバル速歩の実践編をお送りします。
(『コンディショニングイノベーションLab公式』より抜粋・再構成)
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