運動免疫学の世界的権威・鈴木克彦さんは、免疫力をアップさせる方法として「適度な運動」「バランスの良い食事」「十分な休養」「疲れ・ストレスを溜めない」という4つの生活ルールを守ることが大切だという。忙しい生活のなかで、具体的にどのようにこれらのルールを取り入れていけば良いのか…。日本テレビホールディングス・古市幸子が迫った。
<鈴木克彦さんプロフィール>
運動免疫学の世界的権威。早稲田大学スポーツ科学学術院教授。早稲田大学大学院人間科学研究科生命科学専攻修士課程修了後、弘前大学医学部を卒業し、国立国際医療センター病院にて臨床研修修了。2002年弘前大学医学部助手、2003年早稲田大学人間科学部専任講師、2008年同スポーツ科学学術院准教授を経て2013年より現職。
免疫力を高める生活ルール4つ!食事はたんぱく質がポイント

━━先生、免疫アップの4つの生活ルールをあげていただけますか。
「適度な運動」「バランスの良い食事」「十分な休養・睡眠」「疲れ・ストレスを溜めない」の4つです。
━━適度な運動が大切ということは、前回先生に伺いました。「バランスの良い食事」について詳しく教えていただけますか。
はい。免疫の細胞や抗体はたんぱく質で作られているんですね。そのため免疫系が働けるようにするには、まずその材料として肉や魚、納豆などのたんぱく質を摂ることが大事です。たんぱく質を取っていないと免疫が働けません。

━━特にたんぱく質が大事なんですね。
そうですね。ご飯、パン、麺類などの炭水化物が多くなりやすいと思いますが、やっぱりたんぱく質を入れていただくことが大事になります。
脂肪が慢性炎症の原因に!たんぱく質は低脂肪のものを選ぼう

━━たんぱく質のなかで特におすすめの食べ物はありますか。
肉にはけっこう脂肪が含まれているんですね。たんぱく質と一緒に脂肪も一緒に取ってしまうとカロリーが過剰になったり、体のなかに脂肪が溜まってしまって慢性炎症の原因になったりします。その意味で、鶏のささみや、脂があまり多くない魚などが良いです。
納豆・ヨーグルトなどの発酵食品も免疫力アップにつながる

納豆、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品が非常に注目されていますね。発酵食品が腸内細菌の環境を改善して、その結果免疫力が高まっていろいろな病気になりにくくなることもわかってきています。
実際、ヨーグルトをとってお通じが良くなって、肌の状態も良くなったとよく聞きますね。しかし人によって合う・合わないがあるので、自分に合うものを見つけていただくのが良いと思います。
1日30種類の食品を摂ってバランスの良い食事を目指そう

━━「バランスの良い食事」のバランスは、どのように考えたらいいでしょうか。
ビタミンCやミネラルが含まれる野菜や食物繊維が含まれている根菜類など、いろいろな食品を取っていただくのが良いです。目安としては、1日に30種類の食品をとるとバランスのいい食事だといわれております。
また、筋肉を作る材料としてたんぱく質やアミノ酸も重要です。これらが十分にないと免疫の細胞も働けません。免疫系が働けるようにするためには、たんぱく質が不可欠です。
睡眠は「量」も「質」も大事!快適な睡眠環境を作ろう

━━免疫力アップの生活ルールの3つ目は「睡眠」ですが、現代人は十分な睡眠をとるのが難しいですよね。
はい。朝起きたときに疲れが取れてないと感じる場合は、十分な睡眠が取れていないことになります。

時間でいうと少なくとも6時間ぐらい取れれば良いです。しかし、途中で起きたり熟睡できていなかったりすると、疲労を回復させるほどの十分な睡眠にはならないので、睡眠の質を上げていただくことも大事です。そのために、たとえばスマホやパソコンを寝床に持ち込まないで、快適な睡眠をできる環境を作ることが大事になります。

━━とにかく疲労があると免疫にはあまり良くないということでしょうか。
そうですね。疲労やストレスは免疫にとっては大敵です。これらはなるべく避けて、疲労したら回復させることが大事です。
ストレスは2種類ある!睡眠・栄養・気分転換で上手に解消

━━まさに免疫力アップの生活ルールの4つ目が「疲れやストレスを溜めない」ですが、これも現代人には難しいところではありますよね。
そうですね。ストレスには「肉体的ストレス」と「精神的なストレス」があります。肉体的なストレスは、労働や運動など体を酷使して疲労が溜まった状態です。これは睡眠や栄養で回復させることが必要になります。

精神的なストレスは、仕事や学業などの心の疲労です。たとえば試験があるとストレスが溜まりますよね。そうするとストレスホルモンが出てきて、免疫を抑制する方向に働きます。
精神的なストレスが溜まったら気分転換をして解消する。そうすると免疫系にとってはプラスになります。
ストレス解消法として長く続けられる楽しい運動を見つけよう

━━ストレスを溜めないのは難しいと思うのですが、先生はどのようにいろいろな方にアドバイスされていますか。
私は運動の専門家ですので、適度な運動を勧めています。運動すると気分転換にもなりますし、体の状態も良くなりますから。怪我をしないように気を付けながら運動をやっていただくのが、ストレス解消にもつながっていくと考えています。
運動は1回やっただけじゃ効果が出ませんので、楽しんで続けられる運動を見つけることが大事です。
疲れたら休養優先!心地良い生活が免疫力アップにつながる

━━疲れすぎてどうしても運動する気にならないときは、どうしたら良いでしょうか。
疲れた状態で運動すると怪我をすることもあるので、疲れすぎたときはまず休養を取っていただきたいです。睡眠も含めて体を回復させて、疲れていない状態で運動することが大事です。

━━免疫力を上げるためには、それぞれにとって心地良い生活をするなど、いわゆる特別なことではなくて普通のことをするのが大事なんですね。
そうですね。そういった免疫が働きやすい環境を体内に作ってあげることが大事だと思います。
━━次回は先生に、免疫力アップに関する素朴な疑問に答えていただきます。次回もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
(『コンディショニングイノベーションLab公式』より抜粋・再構成)
■お知らせ
本記事に関連し、早稲田大学スポーツ科学学術院の 鈴木克彦教授 が大会長を務められる 第17回国際運動免疫学会シンポジウム(ISEI 2026 Tokyo)が、2026年8月27日(木)~30日(日)に早稲田大学にて開催されます。詳細につきましては、以下の公式ページをご覧ください。
👉 https://katsu.suzu.w.waseda.jp/ISEI2026_Tokyo_J.html 公式案内ページ
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