7月に入り、2026年もいよいよ後半戦。そこで、スポーツ界のコンディショニング研究の第一人者・杉田正明さん、アンチエイジング医学の第一人者・満尾正さん、元『日経ヘルス』編集長で健康医療ジャーナリストの西沢邦浩さんに、2026年下半期に注目すべき健康・コンディショニングのトレンドを聞いた。特に話題に上がったのが「エクササイズスナック(運動スナック)」。その内容や実践方法について、日本テレビホールディングスの古市幸子が迫った。
<杉田正明さんプロフィール>
日本体育大学教授。ハイパフォーマンスセンター長。日本のスポーツ界におけるコンディショニング研究の第一人者であり、東京・パリのオリンピックでは日本選手団の本部役員として科学的支援を行う。
<満尾正さんプロフィール>
満尾クリニック院長。ハーバード大学で栄養学を習得した日本のアンチエイジング医学の第一人者。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、キレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを2002年赤坂に開設、2005年広尾に移転、現在に至る。著書に「食べる投資」アチーブメント社など多数。
<西沢邦浩さんプロフィール>
健康医療ジャーナリスト。早稲田大学卒。小学館を経て1991年日経BP社入社。『日経ヘルス』『日経ヘルス プルミエ』編集長、日経BP総研主席研究員を歴任。現在はサルタ・プレス代表取締役を務めるほか、講演・執筆活動も行う。
歩くタイミングが血糖値に大きく関係!食後すぐ10分歩こう

━━まず杉田先生、2026年下半期に注目すべき新常識を発表していただけますでしょうか。
杉田さん)はい。「食後すぐ10分歩け」です。
━━実際にどんな研究データがあるんでしょうか。
杉田さん)「食後すぐに10分歩いた場合」「食後座ったまま」「食後30分経ってから30分歩いた場合」の血糖値の推移を比較した研究があります。その研究によると、食後すぐ10分動いた場合の血糖値は、食後30分経ってから30分も歩いた場合の血糖値とほぼ同等かそれ以下なんです。

杉田さん)これで、たくさん歩くよりも「いつ動くか」が重要であることが、証明されたんじゃないかなと思います。

━━満尾先生、食べてすぐ動いたら胃に悪そうな気がするんですけど、どうでしょうか。
満尾さん)昔は「食べたら30分ゆっくりしていろ」と教わったんですが、走るわけじゃないんでね。すぐ歩く運動は、血糖値が上がりやすい方にとってはメリットがあるんではないかなと考えてます。

杉田さん)先生がおっしゃったように、走るとお腹が痛くなったり消化に悪かったりするんですが、ただ歩くだけですから。消化などに悪影響は及ぼさないと思います。
ダラダラ歩きより速歩き!歩く速さが死亡リスクに影響する

━━「大体1日1万歩歩いた方がいい」というのも昔からよく言われていますが、これについてはいかがですか。
西沢さん)全然そんなことはなくて、4000歩からでも十分効果は出ます。距離だけじゃなくて、強さとの掛け算みたいになっているんですよ。

西沢さん)9万人ぐらいを見た研究があるんですけど、1日15分速く歩く人の方が、3時間だらだら歩いてる人よりも死亡リスクが低い。
ほかにも面白い研究があります。「食後20分以上座ってる人は食後高血糖になりやすい」とか。

西沢さん)「食後に座り続けてないだけで、エネルギーの使用量がだいたい10%上がる」というのもあるんですよね。いずれにしても、動くに越したことはないと。
1回数分・つまみ食い感覚の「運動スナック」で座りすぎ防止

━━オフィスにこもりっきりになっている方は平日の日中に運動できないと思ってましたけど、お昼ご飯の後にちょっと歩くだけでも運動になるんですね。
杉田さん)はい。あとは「エクササイズスナック(運動スナック)」ですね。「軽く歩く」「もも上げする」「椅子に座ったり立ったりする」といった数分の運動を1日に3〜5回ぐらいするだけで効果があるんです。

━━1日3〜5回なら、トイレに行ったり誰かに呼ばれたりして、普通に立ったり座ったりしますよね。どういった立ち方だったら効果的とかありますか。
杉田さん)ゆっくりよりはスピードをつけてスッと立ち上がるほうが、その分筋肉にも良い効果があります。要は、座り続ける時間をなるべく切るのが大事みたいです。

━━じゃあ、長い会議の人とか大変ですね。
杉田さん)そうです。だから僕の場合は、会議中に足にグーッと力を入れています。
━━座ったり立ったりじゃなくって、グーッと力を入れるだけでも違うんですか。
杉田さん)違うと思ってやってます。
バランスボールを椅子にしよう!貧乏ゆすりも血流UP効果が

━━ほかに、デスク周りでできるような運動はありますか。
満尾さん)患者さんにおすすめしてるのは、バランスボールを椅子の代わりに使うことです。大腿四頭筋や腸腰筋などを使いながら姿勢を維持するので、非常に良いと思います。バランスボールは一時ブームになったんですけど、もう一度見直してもいいかなと。

西沢さん)中京大学の先生が10年ぐらい前に出した面白い研究があって。貧乏ゆすりしてると、足の辺りの血流が良くなってると。

━━誰かが貧乏ゆすりしたら、みんなで一緒にやっちゃえばいいんですね。
西沢さん)そうですね。
階段の上り下り2分から!できるときにできる運動をすればOK

西沢さん)さっき杉田先生がおっしゃった「エクササイズスナック(運動スナック)」は今とても話題になっていて、その効率性についても研究が進んでるんです。
たとえばエアロビくらい強い運動を1日2分×4回やるだけで、30%近く死亡リスクが減っているんですよ。

西沢さん)だから、スナックをつまみ食いするみたいに運動をやれるときにやっていけば、それだけでも十分効果が得られるっていう。
━━私の場合、オフィスで2分間だけ激しく動くってどうしたらいいんだろうと思ったんですが。

西沢さん)たとえば階段に行って上り下りを2分するとか。それなりに速くやったらハードな運動になりますよ。
杉田さん)週末だけまとめて運動する場合と毎日運動する人を比較すると、ガンや心疾患などでなくなる確率はほぼ同等だったという研究もあります。

杉田さん)だから週末だけ頑張るだけでも、十分効果があります。
座りっぱなしの適正時間は1日4時間!30分に1回は体を動かす

西沢さん)実は今日見つけたんですけど、「座りっぱなしの適正時間がある」という研究が出たんです。この6月に出たばっかり。それによると、1日トータル4時間が座りっぱなしの適正時間だということです。

西沢さん)中国で4万人を12年間ぐらいずっと追いかけた研究で、4時間以上座っている人たちは、30分に1回ぐらい身体を動かしただけで死亡リスクが下がるんですって。
逆に1日トータル2時間しか座ってない人は、30分に1回休んだ方が健康度合いが上がるということです。
━━なるほど。立ち仕事をしてる人は、ちゃんとこまめに休憩を取った方がいいということまでわかったんですね。
西沢さん)そうですね。

━━4時間ということは、フルタイムで働いてる人は半分ぐらい動いた方がいいということですよね。私、明日から立って出る会議を増やそうと思いました。次回もよろしくお願いいたします。
杉田さん・満尾さん・西沢さん)よろしくお願いします。
(『コンディショニングイノベーションLab公式』より抜粋・再構成)
『コンディショニングイノベーションLab公式』は日本テレビホールディングスのウェルネス情報シンクタンク、コンディショニングイノベーションLAB(CIL)公式YouTubeチャンネルです。「健康を、正しく、わかりやすく」をテーマに、最新のウェルネス情報からベーシックな基礎知識までエビデンスに基づいた情報をお届け。日々を健やかに、人生を楽しむお手伝いをいたします。



