国際的に活躍する医学博士・根來さんに、腎臓と健康の関係について4回にわたって話を伺う本シリーズ。最終回となる今回は、腎機能の改善につながる運動として根來さんが考案した「腎トレウォーキング」がテーマ。運動習慣がない人でも日常に取り入れやすいというその内容について、日本テレビホールディングス・古市幸子が話を伺った。
<根來秀行さんプロフィール>
ハーバード大学およびソルボンヌ大学医学部客員教授。内科学、循環器病学、抗加齢医学、睡眠医学を専門とし、多岐にわたる研究分野で国際的に活躍する。日本抗加齢医学会評議員。日本テレビ『世界一受けたい授業』などのメディア出演のほか、『100年はたらく腎臓をつくる! 「腎トレ」ウォーキング』(青春出版社)、『老化は腎臓で食い止める! 腎機能を自分で強化する名医のワザ』(宝島社)など著書多数。
世界の研究で判明!腎機能の改善には「適度な」運動が効果的

━━先生、今回のテーマは「腎トレウォーキング」ですが、運動が腎臓に良いということなんでしょうか。
そうですね。最近いろいろな研究が世界中から出ていて、腎臓の機能が弱っている場合に積極的に運動を取り入れると、腎臓に良い働きをもたらすことがわかってきているんです。
ただし、過度な運動は腎臓に負荷をかけるので「適度な」運動がキーポイントになります。

━━具体的にどんな研究がおこなわれたんでしょうか。
一番有名なのは、イギリスのブリストル大学が2022年に発表した研究です。2000名の腎臓を20年以上調査したところ、運動習慣がない人より運動習慣がある人のほうが、腎臓系の病気にかかるリスクが低いということがわかったんですね。

━━運動をしていない人には、すぐにでも始めていただきたいですね。
そうですね。ハーバード大学でも運動と健康の状態を調査した大規模な研究があって、適度な運動が血糖値や血圧を下げて最終的に腎臓機能を保護するという結果も出てるんですね。
ですから、「腎臓を守るためには適度な運動をすることが重要」というのが、最近の考え方です。
先生考案!腎臓に負担をかけない運動「腎トレウォーキング」

━━適度な運動として先生が考えられたのが「腎トレウォーキング」ということですが、これはどういったものですか。
腎臓に過度な負荷をかけない程度の「軽い筋トレ(無酸素運動)」と「ウォーキング(有酸素運動)」を組み合わせたものです。

━━筋トレとウォーキングというと、運動をやってない人にとってはハードルが高い感じがするんですが……。
筋トレといっても、壁を使った腕立て伏せや簡単な腹筋、スクワットなどを一日おきにローテーションする方法で良いです。

━━「今日は上腕」「今日は腹筋」みたいな形ですか。
はい。筋肉が回復するのに48〜72時間かかるといわれているので、上腕とお腹周りと足を1日おきで変えながら。
腕立て伏せも、最近全然やっていなくてできない場合は1回からでもいいので、数を少しずつ増やしていく。腹筋やスクワットも、自宅や職場のちょっとしたスペースがあればできると思います。

━━何か準備しなくてもできる程度の筋トレということですね。
そうですね。ポイントは、筋トレで脂肪を壊してその後の有酸素運動で燃焼させることで、二重の目的があるんですね。筋トレと有酸素運動の組み合わせが非常に効果的だと思います。
1回20分×3セットが目安!仕事の合間に分けて取り組むのも◎

一応僕が考案したセットは、筋トレ1〜2分とウォーキング18〜19分を1セット20分として、1日3セット60分やるというものです。1日3セットやると、6000歩ぐらいはいくと思います。
ハーバードの研究だと、1日7,000〜8,000歩を歩くと腎臓系に好影響があるというエビデンスがありますので。

会社に勤めている方だと、通勤だけでは1日3,000〜4,000歩程度だと思うんです。ですから、20分のセット3回でも30分のセット2回でも良いので、仕事の合間や仕事が終わった後に腎トレウォーキングを追加すると、体にすごく良い効果が得られます。
また、心肺機能を高めるという意味で「ジョグウォーク」というやり方もあります。

ジョギングを1〜2分やったあとに20〜30分のウォーキングをするという運動です。年齢が若ければジョギングをもう少し多めにやるのも悪くないと思います。
できない日があってもOK!無理のない範囲での継続が大切

全身の血流を良くするという意味では、このように「筋トレ+ウォーキング」あるいは「ジョグウォーク」などで過度な負荷をかけずに運動を習慣化することが非常に意味を持つと思います。

━━筋トレと足して1セット20分ぐらいはやった方が良いということになりますか。
そうですね。あと、やはり継続することが非常にポイント高いんですよね。1週間で1日平均8,000〜1万歩くらいになるように歩数の目安を立てて、できない日は別の日に取り返すようにすると良いと思います。

ちょっと無理を感じる場合は、設定を下げても良いと思います。習慣化して継続することが、腎臓を含めて全身に良い効果をもたらすのではないかなと考えています。
腎臓を良くする3つの食材も判明!ただし摂りすぎには注意

━━トレーニングではなくて食べ物についてもお伺いしたいんですが、先生が研究されているなかで「腎臓を良くする食材」はありますか。
最近の研究で証明されてきている食材が3つあります。「ルイボスティー」「シナモン」「ヒハツ(香辛料)」です。

━━これらにはどのような効果があると考えられているんですか。
一つは、内皮細胞の強化です。毛細血管の内皮細胞はトンネル状に連なっていて、「Tie2」という部分が血管を接着しているんですよね。生活習慣が悪いと、このTie2が緩んできます。
3つの食材の成分には毛細血管を強化する力があるとわかっていて、血管の網目の部分が荒くなってタンパクが出てしまうのを結果的に防ぎます。

また、腎臓を含めて毛細血管の大敵になるのが高血糖や高血圧によって大量に発生する「活性酸素」なんですが、3つの食材の成分には活性酸素を中和する抗酸化力も期待できます。

━━それぞれどれくらいの量をとったら良いですか。
シナモンは摂りすぎるとお腹に影響を及ぼす人もいるので、小さじ2分の1程度ですね。ルイボスティーは3食でコップ1杯ずつ飲んだり、気が付いたときに飲んだりする形で良いと思います。

━━マストで「これぐらい取らなきゃいけない」というのは特になく、生活に取り入れるという感じですかね。
はい。まんべんなく取り入れるのが良いと思います。
手軽にできる呼吸法やウォーキングで腎臓の健康を守ろう

━━4回にわたって腎臓力を高める貴重なお話を伺ってきました。最後にメッセージがありましたらお願いします。
呼吸法やウォーキングは今日からでもできることなので、ぜひ取り入れていただきたいです。
体をメンテナンスすることで老化を遅らせられるという明るい未来も見えたと思いますので、良い腎臓を少しでも長く保てるように、ちょっとした生活習慣を改めていっていただきたいと思いますね。

━━昨日まで意識してなかった腎臓、今日から気を付けたいと思います。先生、ありがとうございました。
ありがとうございました。
(『コンディショニングイノベーションLab公式』より抜粋・再構成)
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